(2) ホルミシス療法とは
がん闘病において、ホルミシスと言えば低線量の放射線により細胞へ軽いストレスを与えることにより、ストレスを乗り越えるために、細胞が活性化し、細胞の修復酵素が大量に産生され、必要なホルモンが適度に分泌され、その他諸々な作用(11の(1)免疫力向上をめざしての①から⑥までの項参照)により、体全体の活力が増し、がん細胞の増殖速度減に関して良い方向に作用しますが、普通このことを低放射線ホルミシス療法と言っています。
ここで云う低線量放射線の容量ですが、従来の放射線治療の10万分の1の弱い放射線を用いています。
そして、ホルミシスとは低線量の放射線ばかりではなく一般の薬剤にも言えることですし、あらゆるストレスに対して起こる生体反応だといいます。以下上記の書籍②放射線ホルミシスの話を中心に他の書籍を参考にしながら要点を述べていきます。
生体の生理・薬理現象については、「大は小を兼ねず、小は大に勝る」といった事例が多々見られます。そして古くはギリシャの医師ヒポクラテスがこう述べています。「類は類をもって癒す」「過度のストレスは生体活動を抑制し、破壊してしまうが、軽い負荷は生体を刺激する」。
また、中世のある医学者は「この世に毒でないものがあろうか。どんなものでも摂りすぎれば毒になる。毒になるか薬になるかかは量次第である」。
また、ホメオパシー(同種療法)の創始者であるドイツの医師ハーネマンは「健康な人にある症状を引き起こす物質は、病気の人に現れる同種の症状を治癒させる」といっています。ホメオパシーは欧米では最も歴史のある代替療法であり庶民から根強い支持を得ている療法の一つです。
ここで私は何を言いたいかというと、放射線は限りなくゼロでなければならないという安全神話が世界を支配し、日本は特に強く、これが自然界に生まれ自然界に生活している人々にせっかくの自然界の仕組の奥深さ、生命体の35億年の過酷な環境を乗り切るために獲得した素晴らしい仕組そして治癒の可能性の高さにもかかわらず、放射能、放射線という言葉だけで敬遠されることが私としては本当に惜しまれ、悔しい思いもあります。
そして昔から宇宙に関心のあったので1960年代後半のアポロ宇宙船時代から最近の宇宙ステーションまで、地上の数百倍の強い宇宙線を浴びても宇宙飛行士は晩年まで皆健康で過ごしていることに≪なぜ≫を感じていました。
「放射線ホルミシス」は米国ミズーリ大学のT・D・ラッキー博士が米国NASAの宇宙飛行士の健康に宇宙空間での高放射線がどのように影響するかという10年間の研究の末1982年に発表されたもので、その結果は人や動物にに微量の放射線を当てると、免疫系が強くなる、がんにかかりにくくなる、生殖力が強くなるというそれまでの学説とは全く異なった結果が膨大な観察データや実験データで示されたのです。
しかし発表されてもしばらく学会からは無視され放おっておかれていたのですが、日本の電力中央研究所の服部禎男原子力部長がラッキー博士の主張が科学的に正当なものかどうかについて米国に責任ある回答を強く求めました。米国はその要請に応え国の機関で検証しました。その後日本でも服部博士の主導により、東大、京大、岡山大など日本国内の10以上の大学で動物実験および臨床研究が展開されました。これをきっかけに世界中で研究が活発化し、国際的なシンポジュウム、学術会議が日本を含む世界各国で開催されることになります。(以上②の書籍より)
それから35年、世界の放射線への認識は変わりつつあります。
放射線も自然放射線の100倍くらいまでのものであれば反対に健康をもたらすものだということを。
日本の自然放射線量は年間1.5ミリシーベルト(mSv)で、世界平均で2.4mSvです。世界の各地に年間10ミリシーベルト以上の自然放射線地域がたくさんあり、合計数千万人の人々が数千年~数万年暮らしてきています。特にがんが多いとか寿命が短いとかいう疫学研究の報告はなく逆にがん発生率が少ないという報告が多いのです。
ラッキー博士によると自然放射線量の100倍くらいの線量が生体を活性化させ病気の治癒に最も有効な量とのこと。
マウスの照射実験によると自然放射線の一万倍(医療用放射線の十分の一)くらいまでは害をもたらさないで、有効との実験結果も報告されています。低放射線ホルミシスは生殖、成長、神経・筋肉の発達、知能・記憶の発達病気への抵抗を促し、がん死亡率を低下させ、平均寿命を延ばします。
これは世界中のたくさんの地域での多くの疫学調査で明らかにされ報告され認められている事実です。
日本では秋田県の玉川温泉でのがん患者さんの治癒目的の療養が有名ですが、学問的な疫学調査としては鳥取県の三朝(みささ)温泉での岡山大学医学部による37年間の調査があり、この温泉地域の住民の死亡率が全国平均を1.000とすると男性が0.538、女性が0.463と約二分の一とがんが少なく死亡率も低いことが示されており、その他世界にもこれに似た事例が各所にたくさん報告されています。
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